第3回『労働寿命の高齢化に伴い、人材の流動化は止まるはず。』

労働寿命の高齢化に伴い、人材の流動化は止まるはず。

 

 

著:吉政忠志氏(マーケッター)

 


少し前の話になるが、2019年1月3日の日経新聞朝刊に“衰えない肉体、寿命150歳 遠のく「死」問われる「生」“という記事が一面に掲載されていた。

医療技術の進歩やヘルスケアの浸透により、平均寿命は年々伸びており、世界的には毎年3か月平均寿命が延びているそうだ。日本でも50年後には平均寿命が100歳を超えると言われている。それに伴い労働寿命も延びていくはずだ。

一方で人材の流動性については、20年近く前までは、ゆりかごから墓場までと言われていたとおり、1社で勤め上げることが良しとされ、新卒で入社した会社をそのまま定年する人が多い時代だった。その後、日本企業文化や経営スタイルの欧米化が進み、人材は流動化してきた。IT業界などでは3年ごとに転職するようなエンジニアがいてもおかしくはない。

一方で今後、先進国を中心にAI(人工知能)化が進み、労働環境は大きく変わっていく。多くの仕事がAIに置き換わっていくかの如く、感じている読者の方も多いはずだ。その顕著なニュースとして私は以下の記事が印象に強く残っている。

As Goldman Embraces Automation, Even the Masters of the Universe Are Threatened

※日本語略:ゴールドマンがオートメーションを抱擁すると、マスターズ・オブ・ザ・ユニバースでさえ脅かされる

ニュースソースはMIT Technology Reviewだ。この記事には世界的な金融機関であるゴールドマンサックス証券のトレーダーが600名から2名に削減され、代わりにソフトウェアでできたトレーディングロボットを大量に構築したということが書かれている。解雇されたトレーダーの席にはAIを搭載したロボットを開発するAIエンジニアが座っているそうだ。

しかしここで少し疑問が残る。人間には生存本能があり、資本主義国家においては人間は働かなくては食べていけない。おそらく、今後も労働者は知恵を絞って自分の労働を確保していくはずだ。その中でも長く会社に重宝されていく人材は、AI時代を生き残り、企業にとっても長く働いてほしい投資対効果に見合った人材ではないだろうか。

この状況において理想的な企業は、業態に合わせてスリム化された組織となっているに違いない。企業にとって長く徴用してきた人材はかけがえのない人材になってきているはずだ。この有能な人材こそ、健康経営によって支えていくべき人材であると考える。

企業は将来の屋台骨を支える有能な人材に入社してもらうべく、健康経営に戦略的な人事構想の下、取り組んで行くべきと思うがいかがだろうか。

 

※コラム記事は執筆者の個人的見解であり、オムロンヘルスケア株式会社の公式見解を示すものではありません。


著者プロフィール(吉政忠志氏)

IT業界全般から、人事・総務関係、キャリア関係、ヘルスケアまで幅広く執筆をするコラムニストであり、IT業界を代表する企業のマーケティング支援も行う、マーケッター。