(写真:右から株式会社ウィット執行役員 あすけん事業部 マーケティング担当 天辰次郎 様、オムロンヘルスケア 松田高明、山新真人)
■ 株式会社ウィット(〒163-1408 東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー8F)
取材先:執行役員 あすけん事業部 マーケティング担当 天辰 次郎 様
対 象:栄養士のアドバイスが受けられるダイエットサポートサービス「あすけん」
<アプリの説明>
簡単に毎日の食事を記録できる食事管理アプリ。カロリー計算と、食事に含まれる栄養素14種類を自動で分析してくれる。栄養素はグラフ化されるため、不足している栄養素がわかりやすく把握でき、食生活の改善に役立てることができる。さらに、体重や体脂肪率、運動量、生理やお通じの記録が行え、また、栄養士からのアドバイスを受けることもできるため、無理なく、健康的なダイエットを実現する。
2017年にOMRON connectとの連携によって、体重や歩数の記録も簡単に行えるようになった。
Apple StoreやGoogle Playのヘルスケア部門で常にトップランキング入りしており、2010年に厚生労働省 スマート・ライフ・プロジェクト推進委員会によって開催された、第3回健康寿命を延ばそう!アワードにおいて、優良賞を受賞するなど、注目のアプリとなっている。
(利用者数:3,250,100人/2019年7月時点)
■食のプロフェッショナルが監修する食事管理アプリ「あすけん」
株式会社ウィットは、人気食事管理アプリ「あすけん」を運営している企業だ。
「あすけん」は、食事の記録をするだけで、食事に含まれる栄養素とカロリーの分析を自動で行い、その分析結果をもとに、同社所属の栄養士が監修したダイエットのための食事改善アドバイスの中から、対象の個人に適したものをAIが判断して表示してくれる。そうした細やかな対応が人気で、Apple StoreやGoogle Playのヘルスケア部門で常に上位を獲得している。さらに、厚生労働省が推進するスマート・ライフ・プロジェクトで実施されている第3回健康寿命を延ばそう!アワード(2010年)において、優良賞を受賞した。それ以外にも、複数の有名雑誌やTVの取材も受けており、注目度の高さが窺える。2016年11月からは海外への展開もしており、文化の違いによる利用目的の違いはあるものの、高い評価を得ている。
なぜこうした評価の高いサービスの提供が可能なのかといえば、同社の親会社である株式会社グリーンハウスに係わりがある。グリーンハウスは、企業や学校、病院、介護施設などでの食事提供や、レストラン、ホテルを経営し、コンサルティングも行っている企業だ。運営する食堂は2,500か所を超え、1,800名を超す所属栄養士による栄養指導では30年以上の実績を保有している。そうしたグリーンハウスが培ってきた食と健康に関するノウハウを生かした食事管理アプリを開発し、ビジネスにしたのがウィットの「あすけん」だ。
執行役員 あすけん事業部 マーケティング担当 天辰次郎氏は「あすけん」についてこう語っている。
「親会社であるグリーンハウスは、コントラクトフードサービス(社食・学食)や、新宿さぼてんなどの飲食店、ホテル事業を提供しています。この『あすけん』は、社食・学食から派生したビジネスです。もともと、1980年代にマークシート方式を利用して自動でカロリーや栄養素を計算するというシステムを保有していたため、そのノウハウを生かしました。もともと法人向けにWebで始めたものを個人にも提供するようになり、現在では会員ベースで320万人が利用しています。
ひとびとの明日を今日より健康にすることをテーマに、食と健康の情報を、インターネットを通じて伝えていくことを軸にし、今後も提供し続けていきます。」
■ダイエットや体質改善に効果あり、様々な機能でコツコツと続けられる工夫あり
「あすけん」の利用者は幅広く、主にダイエットに関心の強い20代の女性と、肥満や健康を気にする40~50代の男性が多いという。また、昨今では、社員の健康に気遣う企業も増えてきており、日本を代表するような大手老舗企業での導入も進んでいる。
こうした食事管理アプリで障害になりがちなのが入力の手間だが、同アプリの場合、食事写真を登録するだけで食べたものを記録する画像解析機能、Alexaでの音声認識や、10万件以上の食事データを用意し、様々な飲食店やコンビニの商品リストからの選択など、入力を支援してくれる機能がある。また、グリーンハウスの社食・学食を利用している場合、その日に提供されたメニューを選択することもできるようになっており、利用者がコツコツと続けやすい仕様だ。
天辰氏は、「あすけん」の利用者についてこう教えてくれた。
「みなさん、『あすけん』を始めて一日目に衝撃を受けることが多いようです。摂っているつもりでも意外と摂れていない栄養素が多いことに気づいて、鉄分などの栄養素を積極的に摂るようになり、また、摂取カロリーも当たり前のように減少します。結果、ダイエットを成功させる人が数多く存在しています。企業で利用頂く場合は、グリーンハウスの社食を利用しているケースが多いため、社食でチラシを配布したり、社内セミナーをしたりと、利用促進のお手伝いもしていて、男女問わず入力頂いています。」
■OMRON connectとの連携でユーザビリティアップ
こうして、食分野の独自ノウハウを強みに人気アプリとして上位を獲得し続けている同アプリだが、運動などの食以外の分野は、それぞれを得意とする企業と連携をとることで補足している。その連携しているものの一つがオムロンヘルスケアの「OMRON connect」だ。
「OMRON connect」との連携によって、体重や歩数を手入力しなくても良くなり、ユーザーの使い勝手はより向上した。実際、オムロンの商品と連携していることを理由に「あすけん」を利用しているユーザーもいるという。
「OMRON connect」との連携後、利用者の反応はどんなものだったのか、天辰氏はこう答えてくれた。
「連携のための開発は直接の担当ではありませんでしたが、苦労をしていたという印象はありません。
『OMRON connect』と繋いでから聞こえてくる利用者の声としては、自動で体重を入力でき、分析ができるなどデータ管理が便利になったという声が聞こえてきます。『あすけん』と連携しているから、『OMRON connect』対応の商品を購入したという利用者も居ました。」
■より多くの利用者を獲得し、世界中で利用されるサービスに
「あすけん」の活躍は、個人や法人という範囲に留まらず、医療分野へも手を伸ばし始めている。
2018年12月、金沢大学を中心とした国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)が行う臨床研究への協力が決まっている。従来の特定保健指導にAIやIoTを用いたアプリでのオンライン指導によって、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の予防や重症化防止のために、個人が行動を変えられるのかといった研究がされていくことになる。こうした取り組みや様々な臨床研究に活用されていくことによって、今後、辛くなりがちな食事療法を、楽しいと感じられるものにしていける可能性が出てくるのではないだろうか。
天辰氏は今後のサービスの展望について、最後にこう語っている。
「圧倒的に若い女性の利用者が多いので、利用者の幅を広げていくことを目標にしています。法人や医療分野での利用を進めていきたいです。また、長期的には、妊婦やアスリート、食育向けもやろうと思っています。
オムロンさんの機能をより反映していく予定のため、今後、世界中でご一緒できるようになるかもしれないとも考えています。」