2022年9月13日(木)、オムロンヘルスケア株式会社主催の「実践に役立つ特定保健指導セミナー」がオンラインで実施され、盛況のまま終了いたしました。当日は、当初予定していた参加者数100名の4倍以上の申し込みがありました。他社における特定保健指導について、多くの健保・企業の担当者様の関心を感じるところとなりました。
本セミナーでは、東京建物株式会社 人事部人事企画グループ 兼 健康経営・ダイバーシティ推進グループの飯田博子様から、特定保健指導実施率向上に向けた効果的な取り組み方法について、株式会社マツキヨココカラ&カンパニー 常務取締役 グループ管理統括、そしてマツキヨココカラ&カンパニー健康保険組合理事長でもある小部真吾様から、医薬品販売にかかわる管理栄養士による効果的な指導・支援についてのご講演をいただき、最後にオムロン ヘルスケア株式会社 国内事業統轄部国内営業本部 データサービス営業部データサービス営業課長竹下朋宏氏によるオムロンヘルスケア特定保健指導支援サービスについての具体的な話がありました。
本稿ではセミナーの概要について記載いたします。ご興味がある方はぜひご一読ください。
【第一部】特定保健指導実施率向上に向けた効果的な取り組み方法について~特定保健指導終了率9割達成に向けた取り組みの紹介~
講師:東京建物株式会社 人事部人事企画グループ 兼 健康経営・ダイバーシティ推進グループ 飯田博子 様
東京建物株式会社は、特定保健指導終了率が高い企業となりました。2022年には終了率を100%にできましたので、そこまでの道のりについてお話していきます。当社は、明治29年に設立された、「ビル事業」「住宅事業」を中心に幅広く事業を展開している日本で最も歴史のある総合不動産会社です。2021年末時点の定期健康診断の管理対象者は約1,000名です。健康保険組合は、安田日本興亜健康保険組合に加盟しております。
東京建物株式会社の健康経営
健康経営は、2011年から健診受診率100%を継続していたことをきっかけとして、2016年から戦略的に取り組みを開始しました。2017年2月には、社長を最高健康経営責任者として健康経営宣言を制定しました。現在、とてもいいことなのですが「始めたらやめられない」健康沼にハマった状態となっています。そんな当社ですが、「健康経営」に関しては無理せず永く続けていきたい想いがありますが、「健康経営度調査票」でも「ない・いない」項目が結構あります。代表的なものは、お示しした3点になるかと思います。
先ずは、健康保険組合の保健事業に対し、「どうしたら手間を減らして成果を上げることが出来るか?」試行錯誤を繰り返し今日に至ります。施策としては、平均年齢が40歳を超えているということもあり、役職員に健康経営の実感を持っていただくために「コラボヘルス」を2017年から実施しています。具体的にはポピュレーションアプローチとして歯科検診、ハイリスクアプローチとして特定保健指導に着目しています。ハイリスクアプローチに対する取組の成果として、2020年には特定保健指導実施率を初めて100%にすることができました。肥満は、コロナ重症化のリスクだと社内認識を広げていったことも成果につながったと思います。また、結果として、経済産業省による令和3年度の健康経営度調査フィードバックでも保健指導において最高位の評価をいただきました。
東京建物株式会社の健康経営の取り組みについてはこちらをご覧ください。
https://tatemono.com/csr/special/healthcare.html
https://tatemono.com/csr/pdf/healthmanagement.pdf
特定保健指導における課題
ここで、「特定保健指導」についてご説明します。安田日本興亜健康保険組合のHPを基に紹介すると、40歳から対象になり、特に内臓脂肪型肥満に着目し、その要因となる生活習慣を改善するための保健指導を行うことで病気の予防を実現させる国の施策です。
役職員の中には健診や特定保健指導が会社のサービスだと思っていた人が多く、更に自分の仕事が忙しいために受診をしない人も一定数いたのですが、法律上会社や健保組合に実施義務があり、特に特定保健指導の実施率が低いと保険料にも影響が出てくるのです。「あなたが取り組まないと、結果的に保険料が上る可能性がありますよ」と、役職員に訴求していくことで空気をガラッと変えることができました。つまり、肥満は個人の問題だけではなく、健康保険組合ひいては健康保険料が増え会社経営にも影響が出ることなのだと理解してもらうように案内しました。
当社で実施していた特定保健指導プログラムの中での利用者の声は大きく3点ありました。
こうした問題を解消するために、インターネット等で調べたり健康経営に関する展示会などにも足を運んだ結果、オムロンヘルスケアさんの特定保健指導を健保組合に提案しコラボヘルスとして採用して頂き、利用することにしました。
オムロンヘルスケアの特定保健指導サービスの利用
オムロンヘルスケアの特定保健指導は、データに基づいて、利用者のやる気スイッチが入るように接して下さいました。
初回面談は元々オンライン実施の仕組みでしたので、多少うまくいくか心配でしたが、2020年度(1年目)はコロナ禍の緊急事態宣言下、テレワークを既に導入済みだったこともあり、大きな問題はありませんでした。また、結果として翌年には特定保健指導対象外となった人が約50%になりましたし、体重の減量や腹囲の減少に大きな効果が見られました。2021年度(2年目)は、体重減量者の割合が78.3%、腹囲の減少の割合が76.1%となりました。社内でオムロンヘルスケアの特定保健指導の利用者の声を聞いてみたところ、非常に前向きな言葉がたくさん集まりました。
「楽しく健康になることができた」という声が多く、これこそ私達が目指している健康経営だと改めて認識しました。
今後特に注力していきたいこととして「適正体重の維持」があります。肥満は様々な病気の元になっていますが40歳になってからダイエットを始めるのはとても大変です。20歳の時の体重を意識して生活するということが大事だと産業医からもアドバイスを受けていますので、適正体重の維持を目的として、リテラシー向上施策も取り入れ進めていきたいと考えています。
【第二部】データ・ツールを活用した医薬品販売にかかわる管理栄養士による効果的な指導・支援について
講師:株式会社マツキヨココカラ&カンパニー 常務取締役 グループ管理統括 兼
マツキヨココカラ&カンパニー健康保険組合理事長 小部真吾 様
当社株式会社マツキヨココカラ&カンパニーは、ドラッグストア・調剤事業を中心に展開する企業として、2021年10月にマツモトキヨシホールディングスとココカラファインが経営統合して生まれた企業です。「未来の常識を創り出し、人々の生活を変えていく。」をグループ理念に、“美と健康の分野においてなくてはならない企業グループとなり、美と健康の分野でアジアNo. 1となること”を目指しています。
全国47都道府県に3300店舗超を展開する当社は、マツキヨココカラ&カンパニー健康保険組合を利用し、組合員数は被保険者数で23,112人、被扶養者数が9,501人となっています。
株式会社マツキヨココカラ&カンパニーの健康経営
健康経営においては、健康経営活動方針を策定し、3つの視点で健康経営を戦略的に進めています。健康は重要な経営資源である、ということを共通の価値観にし、社長をトップに組織体制を作っています。健康づくりのための社内制度や施策に注力し、社員の健康につながるものであれば積極的に採用するように動いています。その結果として、経済産業省の健康経営優良法人2022に認定されました。
健康経営のためのコラボヘルスの取り組みとしては5つの分野で実践から結果までをレビューし、健康増進・疾病予防・重症化予防につながっているかというところを見ています。
特定保健指導の取り組みとして、管理栄養士の活用
特定保健指導としては、「自社の管理栄養士による、デジタルデバイスを活用した特定保健指導」が強みです。普段はドラッグストアの店舗で医薬品販売などをしている管理栄養士に参加してもらい、推進をしています。
これは、社内で特定保健指導を内製化できるという点もありますし、特定保健指導を受ける対象者も同じ会社の人から受けたほうが親近感が湧くのでは、という意図もあって実施しています。そして、管理栄養士側としても同じ会社のメンバーの健康を促進する重要な一端を担っているという意識付けにもなります。
まずは、オムロン様のバイタル機器で健康状態を測定し、特定保健指導対象者に現状を気づいてもらうことからはじめ、そこから改善していくためのアドバイスやサポートをしていくような流れで行います。
最終的には、循環器起因疾患ゼロ企業の実現を目指していますので、
- データ活用した特定保健指導
- 医師によるモニタリング含めたサポート
- 自社管理栄養士による指導
を連携しながら特定保健指導プログラムを運用しています。
この中で重要なのが自社の管理栄養士となりますが、当社では管理栄養士の育成についても積極的な投資をしています。医薬品登録販売者の資格取得を含め、社内基準をクリアした管理栄養士のみが特定保健指導を実施できるようにしていますので、一定以上の能力を保持した管理栄養士でないと指導はできません。
特定保健指導対象者の7〜8割はリピーターですのでこのリピーターをいかに減らしていくかが大事だと思っています。そのために必須な管理栄養士については積極投資をすることは当然だと考えています。
特定保健指導の内容
特定保健指導プログラムは、サステナブルなプランを作っています。「持続可能な生活改善」に重点を置いて成果を出せることを目指します。
その他、特定保健指導プログラムの動画を用意してイメージを掴んでもらうことや、管理栄養士の健康にいいオリジナルレシピの公開、ポピュレーションアプローチ(意識向上)のための栄養学に関する講演や特定保健指導を受ける意義の周知、健保組合からのメッセージ発信といった様々な取り組みを行うことで、プログラム完了率は99%になりました。
【第三部】オムロン ヘルスケア特定保健指導支援サービス ~1か月1キロ減量で目標達成率向上~
講師:オムロン ヘルスケア株式会社 国内事業統轄部国内営業本部 データサービス営業部データサービス営業課長 竹下朋宏氏
当社オムロンヘルスケアでは、「ゼロイベント」として生死に関わる疾患(イベント)をゼロにすることを掲げています。そのためには普段の生活での「高血圧」「不整脈」を早期に発見し生活習慣の改善や治療を行う必要があります。
革新的デバイス
このゼロイベント実現のため、デバイスを提供しています。
オムロンヘルスケアの特定保健指導プログラム
特定保健指導プログラムでは、生活習慣の定着にフォーカスするためのパーソナライズされた指導を実施しています。
健康機器と専用の「けんぽアプリ」を利用することで利用者の手間を省き、適切なアドバイスができるようになっています。そして定着するために一緒に動いていきます。
そして特定保健指導のリピーターを減らすためにも、指導終了後も計測機器で測定をし続けていただくことが可能になっています。
オムロン ヘルスケアの特定保健指導支援サービスはご利用者の皆様に寄り添った、継続と成果が出せるものになっていますので、ご興味・ご関心がある方はぜひお問い合わせください。