沖縄県の企業を中心に健康経営推進サポート事業を展開するホウゴ(本社・沖縄県那覇市)は、ICT血圧管理ソリューション導入第1号となったりゅうせき建設様(本社・沖縄県浦添市)で、2025年2月に初回のモニター測定を実施。第2段階として同年12月には、別事業所の全従業員を対象にホウゴが自社開発したソリューションを活用した測定を行い、全社展開に向けた取り組みが順調に進んでいます。ホウゴ代表取締役の菊池和登様に、りゅうせき建設様の事例を中心にお話を伺いました。
▶︎前回の導入事例はこちら:【導入事例】沖縄の健康課題に挑む株式会社ホウゴ─ICTで進化する企業の血圧管理モデル


測定対象者を段階的に拡大実施
――ホウゴ様はりゅうせき建設様に高血圧対策ソリューションを提供し、全社的な高血圧対策の実施に向けた取り組みを段階的に進めておられます。進捗状況を教えてください。
菊池氏2025年2月に本社で初めてモニター測定を実施しました。その後、6月の安全衛生大会で全従業員と関係者向けの高血圧対策セミナーを開催しました。血圧測定を全社に広げるための第2段階として、12月に本社と離れたうるま市にある別事業所(環境事業部てぃーだ)で、27名の全従業員を対象に血圧測定を実施しています。

――なぜ、拠点を増やして実施することになったのでしょうか。
菊池氏初回は本社の役員・管理職や健康経営推進チーム、高血圧ハイリスク者を対象にしたトライアルでしたが、全社的な取り組みにするには、業務内容が異なる事業所でも測定を行って、段階的に進めていく必要があります。今回実施した事業所は土木施工の現場作業が中心で、従業員の年齢もやや高めです。りゅうせき建設様の担当者様(上原様)からも、「全社に広げる中で優先的に実施したい」と依頼がありました。


新規投入の自社開発ソリューション「Kenpass」で、素早いフィードバックを実現
――今回、どのようなフローで実施しましたか。
菊池氏各従業員様へ個人識別の二次元コード発行、オムロン血圧計(健太郎)・iPadの設置といった準備や、毎回二次元コードを読み取って血圧を測定するといった手順は、前回と同じです。ただし前回はシステム開発業者様のシステムを利用していましたが、今回は“健康経営の道しるべ”となることを目指して当社が開発した「Kenpass(健康経営+コンパスの造語)」というソリューションを導入しました。Kenpassは、私たちが企業の現場で実践支援を重ねる中で感じた課題やニーズをもとに、「企業と従業員の皆様双方にとって、より価値のあるソリューションにしたい」という想いを込めて開発したソリューションです。


――新ソリューション「Kenpass」を導入したことで、どのようなメリットがありましたか。
菊池氏企業様に対して、測定状況や測定結果をより早くフィードバックできることが第一のメリットです。まだ測定していない従業員の皆様には、担当者様から早めに声掛けをしていただくことで実施率を上げることが可能になり、新たな拠点においても、より効果的な取り組みが実現できました。第二のメリットは、測定結果用紙の二次元コード読み込みを省略し、有線コードで繋ぐことでデータが自動送信が可能になりました。読込エラーがなくなったことで、測定の二度手間もなくなり効率的になりました。第三のメリットが、手持ち無沙汰になりがちな測定中に動画が流れるようにし、県の健康に関する情報などを視聴していただきました。今後は血圧改善に向けた食生活の改善や運動などのコンテンツを充実させて、ヘルスリテラシー向上のきっかけにしていければと考えています。

――ハイリスク者への測定結果のフィードバックは、どのように行われたのでしょうか。
菊池氏この取り組みの第一のミッションは血圧測定でスクリーニングをかけてハイリスク者を医療につなぐことです。早急な対応が必要な場合には、早い段階で担当者にデータをお渡しします。今後、改善が必要な方々に関しては、取り組みが終わったタイミングで担当者に報告する2段階でフィードバックをする流れです。今回は幸いなことに、早急に対応すべき方はいらっしゃいませんでした。
――導入フローには、「実施前の企業担当者との打ち合わせ」や、「役員・管理職、対象者に事前理解を図るための血圧改善セミナーの開催」も含まれています。
菊池氏通常、企業からソリューションの申し込みをいただいたら、まず企業側の担当者様との打ち合わせを行います。りゅうせき建設様の場合は、以前から健康経営の推進サポートをしていたので会社の情報は把握できていましたが、新規の場合は、業務内容や事業所の数、従業員数といった概要に加え、健康経営がどの程度進んでいるのか、健康課題が何かなどをしっかり聞き取ったうえで進める必要があります。
また、事前に血圧改善セミナーを開催したかどうかで、従業員の皆様の取り組む姿勢は大きく変わってくるような気がします。セミナーで血圧について勉強していただきつつ、目的や認識の共有、機器の使い方のレクチャーや、健康経営という業務の一環として取り組んでいくことをお伝えし、実施効果を高めています。


――今回りゅうせき建設様の新たな拠点で実施するにあたって、従業員の皆様への動機づけはどのように行ったのでしょうか?
菊池氏初回のモニターの際は事前に高血圧セミナーを実施しましたが、今回は測定を始める1週間前に、事業所で全員参加の体力測定会を開催しました。まず、事業所の担当者様(新本様)に健康経営推進の方針や、健康経営の取り組みに血圧測定が欠かせないことを話していただきました。実践としては、数種類の体力測定や、体組成分析機器を用いて筋肉量などを数値で可視化しました。さらに当社の理学療法士が血圧に関する講演を行い、従業員の皆様に興味を感じていただけるような切り口で、血圧管理の必要性を説明しました。事業所や測定対象者の特性に合わせた内容でサポートすることが重要です。

――りゅうせき建設様にはKPIの設定について、どのようなアドバイスをされていますか?
菊池氏りゅうせき建設様の場合は、担当の上原様と血圧測定参加率や継続測定率といった「プロセス」を評価する形でKPIを設定してきました。把握した現場状況と支援内容を擦り合わせながら無理なく着実にステップアップする形にKPIを設定することで、健康経営の取り組みが継続しやすくなり、定着しやすくなると感じています。
――今後はどのように展開していきますか。
菊池氏血圧測定と体力測定の取り組みが継続して実施できています。これまでの測定参加率などの結果を一旦整理しながら、2026年3月からは本社で血圧測定の参加率をより向上させることを目指し、サポートできたらと思っています。さらに次年度からは、本社と環境事業部てぃーだの2事業場にKenpassソリューションを常設し、日頃から血圧測定を行う社風、健康風土をより高めていくフェーズを展開していきます。
成功の要因は「全社一丸の推進体制」
――りゅうせき建設様の取り組みを通して、職場で従業員の皆様の血圧管理を進めていく上で難しいと感じていることや、その対策を教えてください。
菊池氏血圧計を設置して満足するのではなく、まずは従業員の皆様にしっかり血圧測定をしてもらうことが大切です。今回、測定開始後の早い段階から企業にフィードバックし、担当者に測定を促していただけるようになったことは、大きな前進だと考えています。会社の担当者から「会社の健康経営で業務の一環として推進するから、きちんと測りましょう」と一声かけていただくと、参加してくださる場合もあります。
また、従業員の皆様の健康に関するリテラシーや興味関心が低い場合には、システムソリューションだけでは限界があります。そこを補う意味でも、健康づくりの専門家が定期的に企業に出向き、従業員の皆様と顔を合わせてアドバイスをする関係性を作っておくことが重要だと感じています。


――今回の事業所での実施も含め、りゅうせき建設様の高血圧対策を順調に進めることができている要因をお聞かせください。
菊池氏りゅうせき建設様は経営トップの安慶名健社長が経営戦略の一環として従業員の健康管理を重視し、さらに役員・管理職にも働きかけて、健康経営の推進をしっかりバックアップされています。こうした一連の推進体制が整っていることが、最大のポイントだと思います。さまざまな機会を通して全社的に進めようという方針が従業員の皆様にも共有され、組織全体で健康風土が熟成されている企業だからこそ、血圧や体力測定に限らず「何かをやろう」となったときに、スムーズに進めていくことができるのだと思います。

労働安全衛生の視点でも「健康経営」を推進する動き
――沖縄県は有所見率が高く、全国でもワーストクラスです。今後、企業の健康経営の取り組みは進んでいきそうですか。
菊池氏近年の労働災害は、職場の高年齢化による転倒や腰痛が顕著になっています。生活習慣からくる健康リスクの高まりも懸念され、労働安全だけでなく、衛生分野の対策も欠かせません。企業側の意識は変化していて、多くの企業が安全衛生の文脈でも高血圧対策の必要性を理解してくれるようになったと感じています。また、県内の関連団体が、従来の労働安全衛生に健康経営も合わせて一緒に推進していく動きも、昨年ごろから徐々に大きくなってきています。
――りゅうせき建設様をサポートした経験から、これから健康経営や血圧測定の取り組みを始めようとしている企業に向けてアドバイスをお願いします。
菊池氏血圧測定に限らず健康施策を成功させる上で大切なのは、土台と順番です。まず、健康経営を推進していくという経営者トップの宣言は必須であり、土台として推進体制をしっかりと構築することが非常に重要です。その上で、現場の健康課題を把握して対策を検討し、意識向上・環境整備を進め健康風土を醸成しながら、健康づくりを実践していく。スモールステップで順を追って進めていく方が着実に定着すると感じています。
りゅうせき建設様の場合は健康に関する取り組みを行う組織体制は整っていましたが、できていない企業はまずそこをつくるお手伝いをさせていただきながら数値で見える化し、継続した取り組みにしていけば理想的だと思います。
――りゅうせき建設様の取り組みは良いお手本になりますね。
菊池氏りゅうせき建設様のような良いモデルがあるからこそ、他の企業も「真似してやってみよう」になりやすいです。サポートする当社としても、成功事例から基本的な骨組みをつくり、業種などに応じてカスタマイズしていけば、一からやるより断然速いです。
さらに嬉しいことに、りゅうせき建設様はつい先日発表された健康経営優良法人2026の発表にて5年連続ブライト500に認定されました。これまでの取り組みがしっかりと評価された結果だと感じており、私たちとしても大変嬉しく思っています。
これからもそれぞれの企業にとってより良い職場環境、健康風土のさらなる醸成に向けて一緒に取り組んでいけたらと思います。また日々変化していく社会環境の中で、人手不足や高齢化に伴う各種課題の解決、さらには健康経営を通して企業の業績向上につなげていくお手伝いができたらと考えています。


インタビュー概要
| 社名 | 株式会社ホウゴ |
|---|---|
| 事業内容 | 企業の健康経営プロデュース ウェルネス領域のIT化/DX推進 ウェルネス事業のマネジメント |
| URL | https://hougo.jp |
| お話を伺った方 | 株式会社ホウゴ 代表取締役 菊池 和登様 |








