第4回『健康経営の始め方』

健康経営の始め方

第4回:2019年9月18日更新

 

著:川島孝一
(川島経営労務管理事務所所長、(有)アチーブコンサルティング代表取締役、
(有)人事・労務チーフコンサルタント、社会保険労務士)


これまでのコラムで、健康経営銘柄や健康経営優良法人などの内容について紹介してきました。今回は、健康経営を始めるためには、社内でどのような手順で進めていけば良いかを説明したいと思います。

<健康経営を進めていくためのステップ>

「経済産業省商務・サービスグループヘルスケア産業課」が作成したパンフレットによると、健康経営を進める手順は4つのステップにわかれています。

ステップ① 「健康宣言」を実施する。

最初のステップは、健康経営を経営理念の中に明文化し、企業として取り組む姿勢を社内外に発信することです。

従業員の健康を経営課題としてとらえて、健康経営に取り組むためには、経営トップがその意義や重要性をしっかり認識してその考えを社内外に示すことが重要です。
たとえば、健康経営を推進している会社の社長がヘビースモーカーだったり、あるいは運動をまったくしないといった状態では、社外はもちろん社内に対しても説得力がなくなります。
健康宣言を作成して公表するだけでなく、経営トップがジョギングをしたり、健康診断を率先して受けるといった姿勢を見せることが重要です。

健康宣言の内容については、コニカミノルタグループ・ローソングループ・東急グループ等をはじめとして、さまざまな企業がホームページ上で公表をしています。
自社の健康宣言を検討する上で参考にするとよいでしょう。

ステップ② 実施できる環境を整える。

2つ目のステップは、健康経営を推進していく組織体制の構築です。組織作りについては、専門の部署を設置したり、人事部や総務部など既存の部署に担当者を置くといった対応になります。

また、取り組みの効果を高めるため、担当者に対しての研修なども検討する必要があります。
健康宣言を実施したからといって、その会社に属している人の意識が180度変わるということはありません。結果が出なかったとしても、我慢強く継続していくことが大切です。

自社において、どのような組織体制が取り組みやすいのか、よく検討した上で整備しましょう。

ステップ③ 具体的な施策をする。

3つ目のステップは、自社の健康課題を見つけ出し、目標を設定した上で施策を実行することです。
たとえば、「20代・30代の社員が肥満気味」「喫煙者が多い」「健康診断を受けていない社員がいる」などといった問題を見つけ出すことが必要です。この部分については、他社の事例をそのまま活用できません。社内で丁寧に課題を見つけ、具体的な施策を検討する必要があります。

具体的な施策を検討する際には、「ブレスローの7つの健康習慣」を参考にするのもひとつの方法です。
これは、アメリカ・カリフォルニア大学のブレスロー教授が、生活習慣と身体的健康度との関係を調査した結果にもとづいて提唱しています。

  1. 喫煙をしない
  2. 定期的に運動をする
  3. 飲酒は適量を守るか、しない
  4. 1日7-8時間の睡眠をとる
  5. 適正体重を維持する
  6. 朝食を食べる
  7. 間食をしない

これらのうち、いくつかを習慣化できるような施策を検討してもよいでしょう。

ステップ④ 取組を評価する。

最後のステップは、ステップ3で構築した具体的な施策がうまく機能しているかなどのチェックを行い、次の取り組みに生かすことです。

なかなか成果が出ないこともありますが、トライアンドエラーを繰り返して根気強く行っていく必要があります。「PDCAサイクル」がしっかりと機能するような体制を構築・維持することが重要です。

今回は、実際に健康経営を始めるにあたっての手順を紹介しました。健康経営と聞くと難しく考える方もいらっしゃると思います。
しかし、細分化して考えてみるとそれほど複雑なものではありません。

健康経営に興味がある企業は、4つのステップを見ながら導入を検討してみてください。

 

※コラム記事は執筆者の個人的見解であり、オムロンヘルスケア株式会社の公式見解を示すものではありません。


著者プロフィール(川島孝一氏)

川島経営労務管理事務所所長、(有)アチーブコンサルティング代表取締役、(有)人事・労務チーフコンサルタント、社会保険労務士。
早稲田大学理工学部卒業後、サービス業にて人事・管理業務に従事後、現職。人事制度、賃金制度、退職金制度をはじめとする人事・労務の総合コンサルティングを主に行い、労務リスクの低減や経営者の視点に立ったわかりやすく、論理的な手法に定評がある。
著書に「中小企業の退職金の見直し・設計・運用の実務」(セルバ出版)、「労務トラブル防止法の実務」(セルバ出版)、「給与計算の事務がしっかりできる本」(かんき出版)など。