第18回健康な体は「できる」が増える。健康の体の土台、できていますか?

第18回:2020年4月8日更新

 

 

著:阿部菜月氏(パーソナルトレーナー・スタジオインストラクター)

パーソナルトレーナー兼スタジオインストラクターの阿部菜月です。
柔らかな春の日差しが心地よく感じられる季節になりました。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。

昨年より18回にわたってお送りしてきたコラムも、今回18回目で最終回となります。
最終回は健康の原点に戻り、人間の健康の三代要素『運動・栄養・休養』についてです。
様々な健康方法がありますが、ベースとなるのはやはりこの3つ。
わかってはいるけど運動や食事管理を習慣的に取り入れることができないという方に向けて、運動・栄養・休養の3つについてお話ししていきます。
現在なにか健康法を取り入れてる方も、これが土台となる部分です。是非再認識して頂けたらと思います。

 

健康の三大要素【運動】

体を動かすことは皆さんの体やライフスタイルに大きなメリットをもたらします。
わかっているのに続かないと言う方、多いのではないでしょうか。
続かない理由は2つ!

1つは取り入れた運動がご自身のライフスタイル・体力・目的に見合っていない。
習慣的に取り入れるのであれば、ご自身の生活スタイルや運動の目的・性格に見合った続けやすい運動を見つける必要があります。

どの時間・場所・強度であれば続けられそうか、ご自身のライフスタイルを振り返りながら考えましょう。
そしてもう1つは、皆さんに共通して言えること。
それはホメオスタシスによるものです。

ホメオスタシスとは、恒常性維持機能とも呼ばれていて、環境や体の状態を一定に保つ働きがあります。
例えば、寒いところで無意識に体を震わせて体温を維持する。暑いところでは汗をかいて体温を調整する。
ダイエット中の停滞期(なかなか体重が減らない)もホメオスタシスによるものです。

このように体の状態を一定に保つ重要な役割を持っていますが、ホメオスタシスは心理状態にも働き、時には新しいことを始めるのを邪魔してしまうこともあります。
人間はホメオスタシスにより無意識のうちに現状維持を好んでしまうのです。
新しいことを始めようとしても、なかなかスタートをきれない・続かない。これは自然なことなのです。

そんな壁を打破するためには、ホメオスタシスの働きを上手く活用しましょう。
例えば、転勤をして新しい環境での生活。最初は疲れやストレスを感じることもあるかと思いますが、だからと言って辞めることはなかなかしないと思います。
続けていくうちに環境の変化に体も心も適応し、安定して生活を送ることができます。
このように、ホメオスタシスは新しい生活を邪魔するだけではなく、新しい生活を受け入れて、適応してくれるようになるのです。

運動を生活サイクルに取り入れるためには、まずは一ヵ月間、一駅分歩く・週1回30分だけでもジムに行く・動きやすい服に着替えて外に出てみる・寝る前にストレッチをする。
生活のリズムに取り入れられる範囲の健康習慣を取り入れてみてください。
体は適応しルーティン化してくれます。些細なことであっても、その1つの習慣が、「せっかくここまで来たから続けてみよう」「他のものにチャレンジしてみよう」「食事の管理もしてみよう」など、日々の生活の意識を良い方向に変化させてくれます。

ホメオスタシスは必ず適応してくれます。味方につけるまで、少し続けてみましょう。

 

健康の三大要素【食事】

人間の体の組織を構成するのが食事。
中でも糖質(炭水化物)・脂質・たんぱく質は体の中でエネルギーとして活用されたり、筋肉や骨・血液などの組織をつくる役割を持ちます。
また、ビタミン・ミネラルは上記の栄養の働きを助けたり、体の調子を整える潤滑油のような働きを持ちます。これらの栄養素は人間の五大栄養素と言われています。
しかし、過剰な摂取や偏った食生活により生活習慣病や肥満、体の不調等を引き起こします。

○○は体に良い、○○を食べると痩せるなどと健康に良いとされる食品の情報などがたくさん飛び交う世の中ですが、5つの栄養素はそれぞれ違う役割を持ち、体の各組織に働きかけます。
糖質制限などの食事制限の方法は数多くありますが、健康という観点から言えば万遍なく色々な物を食べられるのが1番健康です。

そして、食生活を改善したいと少しでも思っている方は、健康的に良くない食事をしているという自覚が少なからずあるはずです。
間食や嗜好品(菓子・アルコール・コーヒー等)を習慣的に摂っている、毎食の量が多い、揚げ物やラーメンなどの高カロリーな食事等…

健康に良いとされる食品をプラスするよりも、いま習慣的に摂り過ぎているもの・健康に良くないであろうと思う習慣をマイナスする方が、習慣化しやすく、またなりたい体や健康への近道かもしれません。
その中で徐々に体調の良い変化を感じ、更にプラスα体に良いことをしようと思ったときは、良いものをプラスしていくと良いのではないでしょうか。

 

三大健康法【休養】

休養というと何が思い浮かびますか?
休養には2種類の方法があります。
1つは「静的休養」
睡眠をとる・横になる・お風呂につかるなど、体を動かさずに体を休める方法。
2つ目は「積極的休養」
ウォーキングやストレッチなど体を動かすことで血液循環を促進をさせ、酸素や栄養を効率よく体に行き渡らせる方法。また、旅行に出かけたり、趣味を楽しんだり、精神的にリフレッシュをすることも積極的休養です。
ご自身の体と向き合い、どのような休養方法が必要か考え休養をとりましょう。

これらの3つの要素が私たちが健康に過ごすための土台となります。
土台のないところに何か積み上げても、すぐに崩れてしまいますよね。

当たり前のことのようですが、出来ていないこと、ありませんか?ご自身の生活を見つめ直し、改善点があれば早速今日から少しずつ改善していきましょう。

ここまでご覧頂き、ありがとうございました。
新しい健康法やダイエット法、食事法の情報が飛び交う中で、皆さんが無理なく継続して健康的な習慣を取り入れられるきっかけになればと思い、できるだけ健康の原点に近い内容を18回に渡り書かせて頂きました。
健康な体は、できるが増える・日常を充実させると思っております。皆さんが心身ともに健康に充実した生活が送れますようお祈りしております。

 

※コラム記事は執筆者の個人的見解であり、オムロンヘルスケア株式会社の公式見解を示すものではありません。


著者プロフィール(阿部菜月氏)

大手スポーツクラブにてパーソナルトレーナー・スタジオインストラクターとして活動しています。フィットネスライフを通し、身も心も健康に。皆さんの日常がより充実したものとなるようトレーナー活動をしております。皆さんの健康に携わってきた経験を生かし、ヘルス系のコラムを書いています。運動や健康に関する情報を発信することが、皆さんをより健康に近づけることができれば。また、健康に意識を向けるきっかけづくりができればと思っています。