第3回『健康経営優良法人の認定基準』

第3回:2019年8月18日更新

 

著:川島孝一
(川島経営労務管理事務所所長、(有)アチーブコンサルティング代表取締役、
(有)人事・労務チーフコンサルタント、社会保険労務士)

 


前回のコラムでは、「健康経営銘柄」と「健康経営優良法人」の概要を紹介しました。

健康経営優良法人制度とは、地域の健康課題に即した取り組みや日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度です。
カテゴリーは、大規模法人部門と中小規模法人部門の2種類があり、それぞれの認定基準が異なります。

今回は、「健康経営優良法人」の認定基準をもう少し詳しくみていきたいと思います。

<大規模法人部門と中小規模法人部門のカテゴリー分けについて>

自社が、大規模法人と中小規模法人のどちらの区分になるかは、業種や従業員数によって決まります。
そのため、健康経営優良法人制度を検討しているのであれば、自社の業種と従業員数をベースに、どちらのカテゴリーに当てはまるのかをあらかじめ確認する必要があります。

このカテゴリー分けの際の業種については、日本標準産業分類を使用します。
それでは業種ごとの従業員数をみてみましょう。

大規模法人の場合

①製造業その他:301人以上

②卸売業:101人以上

③小売業:51人以上

④医療法人・サービス業:101人以上

 

中小規模法人の場合

①製造業その他:1人以上300人以下

②卸売業:1人以上100人以下

③小売業:1人以上50人以下

④医療法人・サービス業:1人以上100人以下

または、中小企業基本法上の「中小企業者」に該当する会社

最後に出てきた中小企業基本法上の「中小企業者」とは、次の要件に該当する会社を指します。

次に従業員の定義についてですが、「常時使用する従業員」はもちろん対象者としてカウントします。
その他の契約社員、パート・アルバイト、他社からの出向者、他社からの派遣社員等については、「常時使用する従業員」としてカウントしないケースが一般的です。
しかし、健康経営の施策(食生活の改善に向けた取り組み、運動機会の増進に向けた取り組み等)の対象者になっている場合は、本制度における「従業員」に含める必要があります。

 

<健康経営優良法人制度の認定基準について>

「健康経営優良法人」の認定基準は、大規模法人部門と中小規模法人部門の2種類があります。
当然のことですが、大規模法人部門の基準の方が厳しいものとなっています。

基準をすべて紹介すると膨大な文字数になるので割愛しますが、経済産業省のホームページに大規模法人と中小規模法人の認定基準をまとめた表が公開されています。
認定要件をクリアするためには、評価項目(メンタルヘルス不調者への対応に関する取組や職場の活性化を目的とするコミュニケーションの促進に向けた取り組み等)を指定された数以上、取り組んでいく必要があります。

無理なく進めていくには、評価項目や内容をしっかりと確認して自社に無理なくフィットする項目を選択していくことがポイントになります。
「健康経営優良法人」の認定を取得しようと考えている企業の方は、事前に認定基準を確認しておきましょう。

大規模法人の認定基準

中小規模法人の認定基準

 

「健康経営優良法人」の認定を受けると、社外に対して健康経営を行っている優良な企業であることをアピールすることができます。
アピールを積極的に行っていくことで、採用に優位性を持たせるなどの効果も期待できます。

健康経営を実践している企業で認定を受けていなかったり、これから健康経営を推進していこうと考えている企業は、ぜひ「健康経営優良法人」の認定も視野に入れてみてください。

 

※コラム記事は執筆者の個人的見解であり、オムロンヘルスケア株式会社の公式見解を示すものではありません。


著者プロフィール(川島孝一氏)

川島経営労務管理事務所所長、(有)アチーブコンサルティング代表取締役、(有)人事・労務チーフコンサルタント、社会保険労務士。
早稲田大学理工学部卒業後、サービス業にて人事・管理業務に従事後、現職。人事制度、賃金制度、退職金制度をはじめとする人事・労務の総合コンサルティングを主に行い、労務リスクの低減や経営者の視点に立ったわかりやすく、論理的な手法に定評がある。
著書に「中小企業の退職金の見直し・設計・運用の実務」(セルバ出版)、「労務トラブル防止法の実務」(セルバ出版)、「給与計算の事務がしっかりできる本」(かんき出版)など。