第16回『トレーニングにより分泌されるホルモン』

第16回:2020年1月14日更新

 

 

著:阿部菜月氏(パーソナルトレーナー・スタジオインストラクター)

 

パーソナルトレーナー兼スタジオインストラクターの阿部菜月です。

寒さが一段と厳しく感じられるこの頃ですが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。
皆様にとって本年にご多幸がありますようお祈りいたしております。

新たな年を迎え、日常に大きな変化がなくともこういった節目の際には「今年は○○を始めたい」「今年は○○な年にしよう」など、何か目標を立てたくなりませんか??
新しいことを始めるにしても、変わらず健康で過ごす為にも、やはり体が資本です。
エネルギッシュに仕事に打ち込み、また、日常を楽しむ為に筋力トレーニングを初めてみませんか?

筋トレは、痩せる・筋肉をつけて体をたくましくみせるなど、見た目の変化をもたらすというイメージを持たれている方が多いと思いますが、トレーニングにより体に一定の負荷を与えることにより、体は様々なホルモンを分泌します。
運動により分泌されるホルモンは体の組織の構成、アンチエイジング、精神の安定などの効果をもたらし、内面にも大きな変化を与えます。今回は日々仕事に打ち込むサラリーマンが筋トレをするメリットを、ホルモン分泌の観点から見てお話しします。

ートレーニングにより分泌されるホルモン

①成長ホルモンー

成長ホルモンとは脳下垂体と呼ばれる内分泌器官から分泌されるホルモンの一つです。
主に体を構成する役割を持ち

◽︎骨・筋肉の成長を促進・修復
◽︎肌の再生
◽︎疲労回復・疲労物質の排出
◽︎タンパク質の合成
◽︎脂肪の蓄積を抑える・燃焼を促進させる

などといった役割があります。

日常生活の中では睡眠時に最も多く分泌されますが、加齢とともに成長ホルモンの分泌は低下していきます。
成長ホルモンの分泌量ほ低下は筋肉量の減少、骨密度の低下、体脂肪の増加に繋がります。
これらが原因で疲れやすさを感じやすくなったり、体力の低下を引き起こします。
これを防ぐための一つの手段が筋トレです。
筋トレ(無酸素運動)を行うことで発生する乳酸は、脳を刺激し成長ホルモンの分泌を促します。
発生する血液中の成長ホルモンの濃度は200倍程度に増加すると言われ、睡眠中と同じ程度にまで増加します。
成長ホルモンの分泌を促すという点では特に、高重量を扱うような強度の高いトレーニングが良いとされていますが、このようなトレーニングは初めてトレーニングをする方には怪我のリスクもあり危険です。
そこでオススメするのが低重量でもしっかり負荷のかかるスロートレーニング。
スロートレーニングはゆっくりと動作を行い、血流に制限をかけます。
高重量の重りを扱っているときと同じように乳酸が発生し、ハードなウエイトトレーニングをしたと脳が錯覚を起こします。
実際には高重量を扱わない、瞬発的な動作でなくフォームを確認しながら行いやすいという点から安全性に長けたトレーニングです。

 

ートレーニングにより分泌されるホルモン

②セロトニンー

セロトニンは、三大神経伝達物質とよばれるホルモンの一つで、日常生活の中では日光を浴びた時、起床時から日が沈むまで分泌され、頭の回転を早くするなど脳を活発に稼働させる役割りを持ちます。
また、精神を安定させ、幸福感・心地よさを得られることから“幸福ホルモン“と呼ばれることも。
セロトニンは日常的に受けるストレスにより、分泌量が低下し働きが弱まります。
分泌が低下することで物事に対するやる気・意力の低下、ストレス、疲労、うつ症状、不眠症を引き起こすリスクが高まります。
筋力トレーニングを含めた運動によりセロトニンの分泌を促進させ、働きを良くすることで精神の安定、メンタル強化を図ることができます。
セロトニンは一定のリズムで筋肉の伸収縮を繰り返すことで分泌量が高まります。
咀嚼・呼吸により分泌を促すこともできますが運動でいうとウォーキング・ジョギング・自転車を漕ぐ・スクワットなどの一定のリズムを繰り返し行う運動がオススメです。
運動を始めてから20〜30分でピークに達し、それ以降はセロトニンの効果は低下します。
運動が苦手な方でもストレスなく、メンタル強化の運動をするという観点で見ると、短時間で楽しんで運動するのもいいかもしれませんね。

以上にあげたように筋力トレーニングは健康状態・見た目を変えるだけでなく、精神面などにもよい変化をもたらし、皆さんの生活の中での「できる」を増やします。
今までの生活に+αで何か始めるのであれば今まで以上に体力・気力・集中力等を要するのではないでしょうか。
新たな年、いままでより更に+α頑張りたい方は特に、筋力トレーニングを始めてみませんか?

 

オムロンの ヘルスケア機器は、記録データを OMRON connect に自動共有し、API を通じて各種 システムと共有することもできます。
体と向き合う、一つのツールとして取り入れてみてはいかがでしょうか?
社員の健康を推進される企業の皆様も是非注目してみてください。

 

※コラム記事は執筆者の個人的見解であり、オムロンヘルスケア株式会社の公式見解を示すものではありません。


著者プロフィール(阿部菜月氏)

大手スポーツクラブにてパーソナルトレーナー・スタジオインストラクターとして活動しています。フィットネスライフを通し、身も心も健康に。皆さんの日常がより充実したものとなるようトレーナー活動をしております。皆さんの健康に携わってきた経験を生かし、ヘルス系のコラムを書いています。運動や健康に関する情報を発信することが、皆さんをより健康に近づけることができれば。また、健康に意識を向けるきっかけづくりができればと思っています。