第1回『日々の健康記録で災害時も家族の健康を守る』

第1回:2019年10月29日更新

 

 

著:菱沼佑香

 


はじめまして。
OMRON connect連携事例の取材を担当させて頂いている菱沼と申します。
今月からこちらのコラムを担当させて頂くことになりました。

私のコラムでは、OMRON connectと連携しているアプリの事例を中心に、時折、オムロン中の人インタビューを交えていく予定です。
どうぞお付き合い頂ければ幸いです。

初回の今回は、神奈川県庁様が提供されている「マイME-BYOカルテ」の事例をご紹介します。

 

病気にならないために体を知ることが大切

「マイME-BYOカルテ」は、投薬記録や母子健康手帳、検診結果といった情報を管理できるアプリです。
OMRON connectと連携させたことによって、オムロンヘルスケアの血圧計や体重体組成計、活動量計で測定された血圧・体重・歩数といった健康データが自動で記録されるようになりました。
管理できるデータは一人分だけではなく、家族分の登録が可能です。
また神奈川県から県民向けの健康関連の情報の提供もされます。

なぜ神奈川県庁がこのアプリの提供を行っているのか?と言うと、迫りくる超高齢化社会に向け、未病の改善に取り組んでいることに関係しています。
神奈川県では最先端医療や最新技術を積極的に取り入れてきているそうですが、やはり病気にならないことが一番ですよね。
個人が健康を意識するきっかけとして、こうした健康データを可視化することは、大切な一歩につながることになります。

そして、このアプリの機能は被災時に役立つ側面があります。

 

避難所生活での不安は健康問題

さて、災害時、避難所生活が長引くにつれて出てくる問題が健康面に関するものです。

一般社団法人日本内科学会によれば、東日本大震災の折、被災地の数か所で生活機能の実態調査を行った結果、7か月後にある地域で非要介護認定高齢者の23.9%で歩行困難者が見られるようになったと言います。
さらにその後、調査を重ねて行った結果、増加傾向にあったようです。
もちろん、災害からの復興過程で変化はあるようです。
(参考:災害時に多発する「生活不活発病」:その予防と回復における内科医の役割|一般社団法人日本内科学会

また、病気も発症しやすくなります。
内閣府の調査によれば、避難所に滞在中、風邪やインフルエンザ、肺炎等の感染症はもちろん、生活習慣病の悪化、うつ病の発症や悪化といった症状を訴える人がいました。
(参考:内閣府 避難に関する総合的対策の推進に関する 実態調査結果報告書 平成25年

避難生活中に体調を崩しやすいといこともあり、厚生労働省は、健康に過ごすためのガイドラインを設けています。
(参考:厚生労働省「避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関するガイドライン」について チラシ

このガイドラインにあるように、衛生的に保ったり、適度な運動をしたりといったことをしても、体調を崩してしまうことはあるでしょう。
こうした時に、重要になってくるのがお薬手帳や母子手帳に書かれた過去の治療に関する情報です。

 

お薬手帳も母子手帳も手元にない…安心して医療を受けるために…

とはいえ、避難するときに十分な準備が毎回できるかと言えばそうではないと思います。
実際、地震は突然起きますし、避難するときはそれで精一杯です。
そうした状況の中で、避難バッグ以外の品を必ず持って出られるかと言えば…財布とスマホくらいはかろうじて持てるかな…程度の自信しか私はもてません。

避難バッグに入れておけばいいと言っても、頻繁に使う人なら避難バッグに入れておくのは不便ですし、置いてある場所を明確にしておいても、逃げるのに精いっぱいで、そこまで気が回らないことがあると思います。
後でとりに行けばいいと思っても、被災状況によっては紛失してしまっている可能性もあります。
実際、過去の災害では水に流されてしまったということがあったそうです。

「マイME-BYOカルテ」に投薬情報や母子手帳の情報、検診結果を登録できるようになっているのは、健康に関する情報を紛失してしまったときでも、アプリを開けばすぐに確認できて、適切な治療を受けられるようにという意味もあったようです。

こうしたツールを効果的に使うためには、日々データを登録することが大切です。
「マイME-BYOカルテ」は日々のデータの登録の負荷を軽減させる仕組みがいくつかあります。

例えば、調剤情報は提携している薬局で渡されるQRコードを読み取れば登録されますし、体重や歩数、血圧はOMRON connectと連携させているため、計測するだけで自動登録されます。

 

最後に

取材で伺った際、担当者の方からは、自身や家族の健康を守るためにも、日々使って、健康を意識して欲しいという想いが伝わるお話をたくさんお聞きできました。
ご対応頂き、
ありがとうございました。

最後に、OMRON connectと連携する際に感じた担当者の方のコメントを記載します。

「民間企業に比べ、行政の取組の場合、年度単位での予算の確保の問題もあり、改修が簡単にできず、臨機応変な対応は難しくなります。そのような中、OMRON connectは、工数も少なく連携することができ、また、すでに普及が進んでいる機器と連携できるというのがありがたかった点です。今後、より連携できる機器が増えていくことと、OSによって連携できる項目が限られているので、連携できる情報の項目がより幅広くなっていくとありがたいなと考えています。」


事例の詳細は下記のリンクからご参照ください。

【連携事例】神奈川県庁「超高齢社会目前、世界に先駆けて神奈川県庁が取り組む未病政策とは」


 

末筆ではございますが、先日の台風15号、19号によって被災された方々の中には、いまだ避難所生活を送られている方々がいらっしゃいます。被災された方々へお見舞い申し上げますと共に、健康と、一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

※コラム記事は執筆者の個人的見解であり、オムロンヘルスケア株式会社の公式見解を示すものではありません。


著者プロフィール(菱沼佑香氏)

吉政創成株式会社 マーケティングスペシャリスト。IT企業(ソフトウェア開発、セキュリティ、ホスティング)で営業事務、営業、マーケティングを経験。現在、吉政創成で取材、撮影、ライティングを担当。月刊連載数本。